アニサキスとは？

アニサキスは、魚介類（主にサバ・サケ・サンマなど）の内臓や筋肉に棲む寄生虫です。人体に寄生することはありませんが、人の体内でも数日から1週間ほど生存できるため、これが胃や腸の内壁に食いつき損傷を与えることで、食中毒症状を引き起こすことがあります（アニサキス症）。

アニサキスは「60℃以上で1分以上の加熱」、あるいは「マイナス20℃以下での24時間以上の冷凍」で死滅します。ご自身で釣った魚を調理する際はもちろんですが、購入した魚介類を召し上がる際にも十分に注意しましょう。

アニサキスの種類と症状

アニサキス症は、通常経口感染から数時間～数日程度で発症します。胃への感染が大多数ですが、稀に腸などへの感染を起こし、合併症を引き起こすこともあります。

なお、アニサキスへの感染が起きても症状が現れないこともあります。

胃アニサキス症

アニサキスが胃の内壁に食いつくことで発症します。アニサキス症のほとんどはこの胃アニサキス症です。

• 激しい上腹部痛
• 腹部の不快感
• 吐き気・嘔吐　など

腸アニサキス症

アニサキスが胃を通り越して、十二指腸や小腸、大腸の内壁に食いつくことで発症します。稀に腸閉塞や腸穿孔を起こすことがあり、その場合には入院治療が必要となることもあります。

• 激しい下腹部痛
• 腹部の不快感
• 吐き気・嘔吐
• 発熱 など

消化管外アニサキス症

ごく稀なケースですが、アニサキスが消化管を突き破って腹腔へ脱出することがあります。感染部位に応じて腹痛をはじめとした様々な症状を引き起こします。

アニサキスとアレルギー

アニサキス症の症状はアニサキス自体が直接引き起こすものではなく、アニサキスに対する体のアレルギー反応によるものと考えられています。そのため、アニサキスへの感染が起きても無症状である方もおられます。一方、体質によってはアニサキスが原因で蕁麻疹や血圧の降下、呼吸不全などの重篤な症状（アナフィラキシーショック）を起こすこともあるため、注意が必要です。過去に原因不明のアナフィラキシーショックを起こしたことがある方は、アニサキスへのアレルギーについて一度調べてみるとよいでしょう。

アニサキスの検査・診断

アニサキス感染の疑いがある場合、胃カメラ検査によってアニサキスの有無を直接確認します。感染が認められる場合、内視鏡を用いて同時に除去治療を行うこともできます。

胃以外への感染が生じている場合には、大腸カメラ検査や超音波検査（エコー検査）、血液検査などを行うこともあります。

アニサキスの治療

内視鏡検査でアニサキスの感染が確認された場合、内視鏡を用いてそのまま除去することができます。アニサキス症の性質上、虫体の除去によって症状は速やかに消失します。

内視鏡での摘出が難しい場合には、薬物療法により症状を抑え、アニサキスが死滅するのを待つこともあります。アニサキスは人体内では生息できないため、約1週間程度で自然に死滅します。ただし、消化管外への感染を起こしている場合には駆虫薬（くちゅうやく）の服用が必要になることもあります。

また、腸閉塞や腸穿孔などの合併症を起こしている場合には入院治療が必要となります。

※入院治療が必要な場合には、提携先の医療機関を速やかにご紹介させていただきます